インタビュー
「楽しい」に挑戦すること。(2)
学部長の任期を終えるにあたって―情報文化学部長 川口 潤
2013年3月4日
―学生自身も自分で活躍の場を広げるといいですよね。
最近はマスコミで国際化の中で、日本の学生が海外に行かないとか、ちょっと内向きになっているとか言っているでしょ。国際化で海外に行くとしたら英語は必要だし、就職活動の時にも役に立つということもあって、名古屋大学全体でも情報文化学部でもTOEICやTOEFLは推進しています。でもね、英語ができたらいいというだけではなくて「何がやりたいか」ということが重要なんだよね。例えば、アメリカに行きますと言ってもそこで何をするのか、ということになれば別に英語ペラペラ喋ればいいってわけではない。だから、目的を持っていろいろなところに飛び出して何かやってほしい気持ちが僕にはあるんです。
これは個人的な意見になるんだけど、「新しいこと」をやった方が絶対面白いよ。しかも、みんながなんとなく面白そうだなあと思っているようなこと。でも、みんなが面白いと思った頃には遅くて、そう思う少し前になんとなく「みんなが心のどこかで関心があるけど意識化できないもの」というようなことを見つけてやれば、それはすごく面白い。それで、何か新しくて面白いことをやる人のまわりには、自然と同じ意識の人たちが集まってくる。そして、さらに面白くなる。
それは日本の中でもできるんだけど、海外でもまったく同じでさらに規模が広くなるのね。だから、海外に行く若者が少ないから行きましょうとかいうそういう話ではなくて、海外に行くことで、面白くて楽しいチャンスはいっぱい外には転がっているよってこと。
―そのためには勇気も必要ですね。
大学の教育ということでいうと、学生さんがすることをシステムとしても気持ちの面でもサポートするのがその役目だし、そういうチャンスがいっぱいあることを伝えるべき。文理融合っていうことだけど、その境界領域にはチャンスが圧倒的にあると思うの。それに新しいことをやるときは教科書が無いので、上の偉い人の話をはいはい聞かなくてもいいところはあって、息苦しくはないよね(笑)。
また、いろいろな分野の人と話をわいわいしてると、何が答えとして出てくるか分からないけど、楽しい。そういうことを若いうちに経験してほしい。普通に会社に入って仕事するときも一緒だと思う。全く新しくプロジェクトを他の分野の人と一緒にやるときに、いろんな関心を持った人とやると楽しいし、毎日が忙しくても全然苦にならない。
最初はちょっと不安なんだけどね。周りの人はいっぱい知っていそうな感じがするわけ。海外の人がいたりすると英語喋っても通じなかったら恥ずかしいとか、そういうこともあるんだけど、そんなに英語の発音がよくなくても、ちゃんと言いたいことがあって、内容が面白いと思われれば問題はない。若い時だったら通じなくても大丈夫だし、今までの世界と違う友達もできるのでとにかく楽しい。
では、最後に入学を決める高校生や学部生へのメッセージをお願いします。
高校生に対しては、情文にきたら今後10年とか新しい職業として必要とされる人材になれるよ、と。学部生に関しては、今いろいろやっていることは社会が必要としていることだし、そういうことを受け身でしているとあんまり楽しくないかもしれないけど、それを身につけて武器としていくと、新しいところに入っていきやすいので、そこにチャレンジすると楽しいことが待っているよ。さらに英語を勉強して海外行くともっと楽しいことが待っているかもしれないね。
川口先生のインタビューは以上です.