インタビュー
全力疾走したその先に見えるもの(1)
現在の研究―情報文化学部長 川口 潤
2010年8月5日
川口 潤(かわぐち じゅん)教授
京都府出身。
京都大学教育学部、大学院教育学研究科にて心理学を学ぶ。
奈良女子大学、愛知県立芸術大学にて教鞭を執り、
現在、名古屋大学大学院環境学研究科・情報文化学部教授。
今年度から情報文化学部長に就任。
専門は認知心理学。
—先生の研究内容について教えてください
大きく言うと記憶の研究ですね。人間の記憶のしくみについてです。なかでも最近やっていることのひとつはノスタルジア。ノスタルジアっていうのは昔のことを懐かしいと思うということです。ノスタルジア広告というものがあって、昔のヒット商品とかを使って人の注意を引くというのがあるのだけども、そういうものをなぜ感じるのか、というような仕組みの研究が一つ目。
もうひとつは嫌なことをどうやって忘れるか。もちろんこういう分野(認知心理学)にはどうやって覚えるか、ということはあるんだけど。例えば受験勉強なんかをしている時は覚えたいと思っていることがなかなか覚えられなかったりするけど、一方で嫌なことっていうのはいつまでたっても忘れられなかったりする。人間はこういった嫌なことを忘れることはできるのか、またどのように忘れるのかといったことも研究してます。
基本的に記憶と意識に関心があるので、無意識的な心の動きや、知らず知らずのうちに行っている判断の背後にある無意識的・自動的なプロセスについても調べています。これもすごくおもしろいトピックです。(続く)
川口 潤(かわぐち じゅん)教授