インタビュー
一日一日、マシになること。(1)
—社会システム情報学科長 米山 優
2011年11月14日
―まずはじめに、先生の研究内容を伺ってもよろしいでしょうか。
僕が一番興味を持っているのは情報創造についてです。だから、現在の研究の中心は、情報が創られる場面をコンピュータに支援してもらって、それをどんな風に実際にやるかということです。例えば、僕は大学の教員として情報創造をどうやって行っているのかといったら、やっぱり論文を書くとか、それから本を書くとか、そういうのが主になりますよね。あるいはなるべく面白い講義をすることも。そういうコンテンツをどうやってつくりだし、それを講義の場合にはどうやってなるべくみんなを惹きつけるようにやるか。また、本の場合には読者がそれを参考にして、どうしたらさらに先に行けるようにするのか。そういう話をやろうとしているんです。
実際に僕は、自分で読んだ本の情報を蓄積してあるコンピュータから、それを自由に取り出しながら、本を書いています。自分の思考の支援、考える事の支援をして、その結果として新しい理論や新しい考えに持っていくことができるのです。それを今までは,例えば哲学の人って本読んでノートとったりと、そういったことだけでやっていたんですよね。それをもう少しコンピュータを使って、取り出した情報を結びつける作業をもっと支援してもらった方が考えることに集中できるようになる。僕が書いた本の中には結構分厚い本もあるんだけど、こういうのはコンピュータがなくちゃ僕には出来なかった。だから本を書くっていうこと自身も、コンピュータに支援されることによってすごくパワーアップしましたね。そういうことをコンピュータとかそういう情報技術を用いてさらに行っていくっていうのが僕の研究です。
―米山先生は哲学の授業で,「本を読んで気に入った言葉に線を引いておいて、二回目に読んだときに本当に気に入ったものだけファイルに取り出せるように収めておく」と仰ってましたね。
そうそう。それは抜き書きのデータベースなんですよ。データベースっていうと、普通はある本の全部をデータにするとかっていう話だけど、そうじゃなくて、自分に響いたところだけをデータにしておくっていうことにはそれなりに意味があると思いますね。
僕、元々専門は哲学ですから、やっぱり考える事が好きなんです。その時に一番無駄なことは考える資料を取り出すのに時間が掛かること。例えば、「あの本になんかこういう言葉があったな」っていうのが分かるけどすぐに取り出せないっていうのはすごくストレスだし、やりたいことがずれてきてしまう。それをいっぺんに取り出せれば思考を支援できるだろう、というわけです。
―本の書き方すらも研究に通じているということですね。
はい、通じています。
本を読むということは書いてあることをただ受け取るだけと思っている人がいるかもしれない。しかし本当はそうではなくて、本を読むこと自身がクリエイティブな動きだということをもっと言いたいですよね。つまり、自分で思考し、その本を越え出ていくこと。それを一冊の本だけじゃなくて、「この本の内容はこの本のこことリンクするぞ」ということがよくあると思います。そういうときにもっとコンピュータを使ってどんどん思考の支援をしていきたい。そんなところです。
―ありがとうございます。では次に大学時代に打ち込んだことを教えてください。
読書です。僕はね、車の免許持ってないんですよ。まず取ろうと思ったことがないんです。
それからスキーもやったことありません。それはなぜかっていうと、僕が大学に入ったときって学生紛争の後だったものだから、ストライキはたくさんあるわ、みんな勉強しないでもう遊び回るわ、っていう状況だったんです。しかし、僕はそれに同じられなかった。むしろ嫌でした。そうなるとやっぱり自分が出来ることといったら本を読んだり、勉強する他ないですよね。それで色んな本を読むわけです。友達が数学やってれば数学の本に手を出してみたり、それから、僕は語学オタクだから(笑)言語をたくさん学んだりもしました。ですから大学時代何やってたかというと、やっぱり一番は本を読んでいた、っていう感じはあります。
―米山先生はもともと経済学部であったとお聞きしたのですが、その頃からすでに色々な学問に手を出していたのですね。
僕は早く大学で勉強がしたかったんです。ハッキリ言って、高校までの受験勉強なんて勉強だと思ってないわけですから。自分の好きなものやりたいと思っていたから入った途端にいろんなものやりました。色んな本、当然小説なんかも読んだし,それからドイツ語関係のものも大分やったし、面白かったですね。
インタビューの後半はこちらです.