インタビュー

一日一日、マシになること。(2)
—社会システム情報学科長 米山 優

2011年11月14日

米山 優(よねやま まさる)教授

社会システム情報学科長の米山先生

から、今回は高校生へのアドバイスや

大学生へのメッセージをお届けします。

インタビュー前半部分はこちら

―先生のおすすめを教えてください。

おすすめは実用的でないものに興味を向けることです。例えば小説を読んでも実用的ではない場合もありますよね。僕が学んでいた古代ギリシャ語なんて、喋られてもいない訳ですから。でもそういうものにもきちんと興味を向けること。

あとは大学入ってからであれば、とにかく一度日本を離れてみることですね。絶対人生変わっちゃいますよ。アメリカもいいけど、やっぱり人類文化の最先端を走ってきたヨーロッパをおすすめしますね。何千年もの歴史が目の前にあるところに行ってみるといいんじゃないかなと思います。ネイティブアメリカンは別だけれども、アメリカはせいぜい二百数十年ですよね?そうじゃなくて二千何百年のものが目の前にあるっていうのはやっぱり違うんです。例えば、ローマのテルミニ駅っていう電車の駅で降りると目の前もう遺跡ですよ。これはたまんないですよ。

ただ夏はおすすめしない。というのも、美味しいレストランがバカンスでみんな一ヶ月近く閉まってるんです。開いてるのは旅行者向けの不味いレストラン。イタリアだと季節的には五月とか十月とかがおすすめです。十月あたりはもうレストランが全部開くし、それから金持ちが旅行する時期なんです。なぜかっていうと十月の中旬くらいからバックパッカーがいなくなるから。そうすると本格的に高尚なヨーロッパが始まるのね(笑)ただし高尚なヨーロッパが始まるから、金持ち相手のスリは出てくるよ。

本当は一ヶ月だけじゃなくて一年二年海外に行って欲しいけれどね。ただ日本の大学って、社会や産業のために大学生を養成してるところがある。就職予備校化してしまっているから。だけど本来の大学の機能って僕は違うと思っている。大学時代は自分の人間的成長、自分探しの時期だと思ってるのだけれど、その時期がなくて、ところてんみたいにひょいって会社に入ってしまうから、すぐうつ病になって、三年で辞めるっていうことがよくある。やっぱりそこら辺どうなのかな、って思いますね。

—情報文化学部は色々手を出して、自分が何をしてるんだろう、と考える事ができる環境がありますが、何も考えずにいるとそのまま四年間が終わってしまう危険性がありますよね。

それはあるよね。僕の時代だってそうだったよ。今言ったようにね、自分で悩まないと。のたうち回らないと。

話は戻ると、おすすめというのはとにかく役に立つことばっかりやるんじゃなくて、そうじゃなくても面白いことがあるかもしれないから、色んなことをやるべきだ、ということです。

—情報文化学部はそのようなものに取り組みやすい環境だと思われますか?

と思うよ。その取り組みやすい状況に置かれているのに、僕が一番いけないと思うのはバイトばっかりやること。もったいないって。

もちろん外国に行くとか、目的があってしょうがなくバイトをする。それは構わない。それから学費を稼がなきゃいけない、これも大変なことだからしょうがない。けれども、バイト代を何に使うか分からないけど一応バイトやるっていうのはナンセンス。目標設定して最低限バイト、それはいいけれども。

僕は他の大学でも教えてるのだけれど、他の大学の学生で、どうもバイトでバーテンダーやってる学生がいる。寝てばっかりなんだよ授業で。意味ないよ。いくらもらってるのか知らないよ?だけど私立大学の、そこの大学の授業料を一コマに割ってみると、一コマ約四千円する。その約四千円を一時間半で彼は稼いでいるのか?って。まず稼いでないんじゃないかなあ。もったいない。時間の無駄。何のために授業があるのかっていうのを忘れてしまっているわけじゃない。学費稼いでる人はもちろんだけれども、親から学費を出してもらってる人ももう少しコスト感覚を持って欲しい。

授業っていうのは、ある意味では利用すれば利用するだけ得なものなんです。それを十分に利用しないで授業にも出てこないバイトばっかやっている。ナンセンス。だからバイトばっかりやるな、というのが僕のおすすめかもしれない(笑)

―最後に、情文に入学希望している高校生にメッセージをお願いします。

こういうことだ。大学に入学できた時はすごく喜んで希望に燃えているのに、五月の連休が終わると死んだ目のようになる人がいるんです。

講義やってるとすぐ分かる。最初は僕の方を見て、シーンとして聞いてるんです。ところが、連休終わるとグゴーッ、ってね(笑)連休終わるとすぐそれなんだよ。いや暑いのは分かる。暑いのは分かるんです。けれどもこっちだって一生懸命やっている。こっちのやる気を削ぐような態度を取るな、って(笑)

だからアドバイスとしては入ったときの感動を忘れないで四年間いてほしいな、っていうことですね。それなりに嬉しかったはずじゃない。でも大体の人は周りが遊びにいこうぜとか、バイトって話になっちゃうけど、それはつまんないよ、ということですよね。

入ったときの思いを、入ったときの嬉しさを忘れないような努力をしてほしいですね。「初心忘れるべからず」という陳腐な言葉ですけど。

「一日一日マシになること」ってのが僕の座右の銘なんです。自分の言葉だけれども。「マシになること」って言うんですよ。つまり全然マシじゃないんだ、みんなはまだ。もう少しマシになれよ、と。自分も含めて。そうでしょ?大学入ったときなんてほとんど何も知らないわけだから、一日一日マシにならなきゃいけない。でも大体は五月くらいになると先輩から「なんとかなるぜ単位は」とか言われてしまって、デレーッとするのね。そうじゃなくて、と言っているの。

最後に。僕はオペラが好きなんです。オペラって高級に思うかもしれないけれども、ちょっとバイトすれば安い席なら買えるから、愛知県芸術文化センターとか、行ってみるといいと思います。つまりもっと芸術に触れる、それも僕は古典芸術ね。芸術に触れる機会を積極的に持つことをおすすめします。

 

米山先生のインタビューは以上です.

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