インタビュー

社会に出るための助走期間として。(1)
—自然情報学科長 北 栄輔

2013年1月25日

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北 栄輔(きた えいすけ)教授

三重県出身。

名古屋大学大学院工学研究科にて博士(工学)を

取得した後、名古屋大学工学部助手、同講師、

情報文化学部助教授を経て、

現在、情報文化学部・大学院情報科学研究科教授。

自然情報学科長である先生の分野は、

データマイニング、交通制御、数値解析、人工知能等。

 

-まず初めに先生の研究内容を教えてください。

いろいろなことをやっているので、うまく説明できるか自信がないのだけど(笑)
たとえば、あるチームでは、交通シミュレーションを使って車の渋滞を緩和する制御モデルを考えて、それをLEGOマインドストームでの交通制御に応用することをやっているよ。別のチームでは、ベイジアンネットワークっていう確率推定モデルを使って、会社の倒産分析とか株価予測とかもやっている。それの応用としては、ウェブサービスや広告もあると思う。それらとはまた違って、進化的計算っていう生物の進化を真似た最適化アルゴリズムの研究を行って、それをエレベーターの制御に応用している人もいる。あとは、XboxのKinectを使って人間の行動を取り込んでそれを基に商品やサービスをオススメする、いわゆるレコメンデーションに応用する研究をしている人もいる。

-いろいろなことをやっているんですね。

僕自身は工学部機械の出身で、学生時代から数値解析理論と最適化理論についての研究を行っている。つまり、もともとコンピュータシミュレーションをやっていたので、途中から段々と他(のコンピュータ関連)にも興味が行くようになって、ファジィ、進化的計算、セルオートマトンに興味を持った。その流れで面白そう面白そうって言っているうちに、機械から段々外れていった感じだね。セルオートマトンの応用として、元々はデザインや設計をやっていたけど、そのうちセルオートマトンを交通シミュレーションに使うようになった。

その後、縁があって情文に来たので、ますますそっちの方の研究に傾いていったね。基本的には情報科学、応用数学、金融、心理なんかだけど、それらを使って、交通渋滞の制御とか予測とか、交通シミュレーターとか、人工市場モデルを使って人間心理の影響を研究するとか。

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最近は、データマイニングやレコメンデーションといったこともやっているよ。ベイジアンネットワークは、簡単に言うと、過去データを統計処理して将来の行動を予測するのだけど、これを使って車の運転行動予測を行うとか、金融経済情報処理に使って株価予測や倒産分析をするとか。また、その研究を応用して、レコメンデーションとか、レコメンデーションっていうのは、ネットで本を買うと、本のおすすめランキングが変わる。あのシステムにつながるようなやつです。

-なるほど、聞きなれない言葉かなと初めは思ったのですが、私たちの身近なものの研究に繋がっているんですね。ありがとうございました。

どういたしまして。

それでは次に、情報文化学部の役割や特徴はどのようなものだと思いますか。

情報文化学部の役割は、文系と理系と両方勉強して、両方の知識を動員(文理融合)して、様々な問題にチャレンジできる人物を育てることだよね。そのために、様々なことが学べることが特徴だと思うよ。

情報文化学部は、専門を絞ってというよりは、比較的いろいろな分野を学んでいて、先生も研究としてさまざまな分野を扱っていると思うのですが、いろいろなことができるっていうのは大切だと思いますか。

そう思うね。

情報文化学部は新しい学部で、(既存の)どの学部とも異なるから、他の学部で本当は新しく教えたいことがあるけどカリキュラムの関係でなかなか教えるチャンスがない、本当は新たにやりたいのだけどできなかったことができる可能性があるのが魅力だね。それは結果的にたくさんのことが教えられていて、専門性がないようにも思えるかもしれないけれど、その中からチョイスをして、自分の専門にしていくことができる。まあ、そのせいでどうするかを学生個々の判断にゆだねられるっていうのはあるけどね。

もし好きなものが複数あれば、複数の専門科目をとって(つまり、たくさん授業をとって)卒業することだって、情報文化学部なら可能だよね。たとえば、経済を勉強して、心理を勉強して、両方とって総単位数は200くらいとって卒業してもいいしね。とるのは大変だけど(笑)。単位のためではなく、いろいろ勉強したいっていうのと、いろいろ学べるっていうのはいいよね。

kita2僕は、たまたま飛行機が好きだから工学部を選んだけど、工学部の人間は工学部に入ると多くはエンジニアになることが決まっている。医学部は医者になることが決まっている。ゴールは決まっているから、そのための道筋や、やることは決まっている。でも、情文っていうのは最終的な出口は1つではないし、就職先もはっきり言うと色々だよね。他学部だと、(学部ごとに)就職先に公務員が多かったり、製造業が多かったりするけど、情文はちょうどいい具合に、進学する学生がある程度いて、あとは、公務員、製造業、 IT等が同じくらい…本当に全学部を網羅するようにいろんな就職先があるでしょ。出口がいろいろあるっていうのは、入学したときには何になるかは決まっていないけれど、なんにでもなれる。ただそのために自分自身が決めなくちゃいけないことが多い。もっとも、社会に出たら結局みんな自分で決めないといけないから、判断力を身につけることが大切だと思うけどね。

インタビューの後半はこちらです.

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